ノスキッド仕上げ研究会
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■コンクリート用混和材料の常識
第03回:AE剤・減水剤・AE減水剤(その1) 藤田 康彦

前回、界面活性剤をコンクリートに応用したものがコンクリート用化学混和剤で、界面活性作用のうち起泡作用を利用したものがAE剤、セメント粒子を分散・懸濁させる性質を利用したものが減水剤・高性能減水剤になることをお話しました。今回は、AE剤、減水剤、AE減水剤についてお話ししましょう。

AEコンクリートとAE剤
昔はコンクリートに空気を入れるなどとんでもない事でした、コンクリートに鬆(す)を作ることは水密性や強度の低下を招くことになるからです。実際に空気量が1%増すごとに4〜6%の割合で圧縮強度が低下します。しかし、AEコンクリートは単位水量を減らすことが可能となるため、空気連行による強度ダウンと減水による強度アップの効果とがほぼ相殺します。むしろ、AEコンクリートはワーカビリティーが大きく改善されるので、型枠への充填性が良くなり、ジャンカなどの打ち込み欠陥が減少します。また、凍結融解に対する抵抗性も飛躍的に向上します。

混和剤を用いないプレーンコンクリートでも1〜2%の空気泡を含みますが、これは工ントラップドエア(巻き込み空気)と呼ばれ、比較的粗大でいびつな形状のものを多く含んでいます。これに対して、AE剤によってコンクリートに連行される空気泡はエントレインドエア(連行空気)と呼ばれます。エントレインドエアはきれいな球状をしておりそれぞれが独立した空気泡です。気泡の粒径は10〜200μときわめて微細で、その数は計算によるとコンクリート1m3中に数千億個にもなると言われています。


図-1 連行空気泡の粒径分布

コンクリート中の連行空気泡は、それぞれ独立してセメント粒子および細骨材粒子の周辺に均等に分布し、ボールベアリングのような作用をするのでコンシステンシーが向上します。また、コンクリートはプラスチックな状態となって、材料分離に対する抵抗性が著しく向上します。このため、AEコンクリートはプレーンコンクリートに比べて細骨材率や単位水量を減らすことが可能になります。その程度は、セメントや骨材の種類、コンクリートの配合等によって幾分異なりますが、一般的には空気量1%につき単位水量を約2%減らすことが出来ます。単位水量が2%減少すると水・セメント比が約1%小さくなりますから、空気連行による強度低下分とほぼ相殺することになるわけです。

凍害防止機構
コンクリートにAE剤を使用する最大の目的は、凍結融解に対する抵抗性の向上とワーカビリティーの向上です。ここでは凍結融解に対する抵抗性のメカニズムについて説明しておきましょう。

図-2の模式図で(1)は通常の状態を表わします。(2)はコンクリート表面の温度が下がって、表面に近い所の水分が凍結した状態ですが、ご存知の様に水は凍結すると10%近くも体積が増加して大きな膨張圧を生じます。この圧力は内部に向かうわけですが、近くに気泡があると、まだ凍結していない自由水を介してこの圧力を逃がすことが出来るのです。更に(3)(4)と水分の凍結が内部に進行しても同様の現象が繰り返され、コンクリートは膨張圧による破壊を免れます。

このように、コンクリート中の連行空気泡は自由水の凍結による大きな膨張圧を緩和する働きをするため、凍結融解の繰返し作用に対する抵抗性(耐凍害性)が飛躍的に増大するのです。


適正な空気量
水・セメント比を小さくすることもコンクリートの耐久性を高める上で効果がありますが、凍結融解抵抗性(耐凍害性)については連行空気の有無が支配的です。ただし、空気量は幾らでも良いと云うわけには行きません。空気量2%以下では耐凍害性の改善効果はほとんどなく、また6%を超えると強度低下や乾燥収縮が大きくなるので、空気量の目標値は粗骨材の最大寸法およびコンクリートの種類に応じて適正な値があります。粗骨材最大寸法が20〜40mmの一般的な普通コンクリートでは4〜7%を標準としています。


図-4 連行空気量と耐久性改善効果

気泡間隔係数
凍結融解抵抗性の改善効果は、コンクリート中に存在する空気泡の粒径とその分布状態によって異なります。一般には気泡間隔係数と云う尺度が目安に用いられますが、気泡間隔係数は、コンクリート中で平均してどれくらいの間隔で気泡が分布しているかを意味します。コンクリート中の空気量が同じなら、粒径が小さいほど空気泡の数は多くなり、気泡間隔係数は小さい値になります。気泡間隔係数の値が小さいと云うことは隣り合う気泡間の距離が近いことを意味しますから、圧力の逃げ場が近くなり、凍結による膨張圧の緩和に大きな効果があります。一般に凍結融解の繰り返し作用を受ける恐れがある場合には、気泡間隔係数を200以下とする事が望ましいとされています。

AE剤の使用にあたって
連行空気量はAE剤の使用量に応じて常に一定と云う訳には行かず、(1)セメントの種類・品質および単位セメント量.(2)骨材の種類・品質および細骨材率.(3)フライアッシュやスラグなど使用する混和材料の種類・品質および使用量.(4)スランプの大小などの配(調)合条件.(5)ミキサ形式や練混ぜ時間・練上り温度などの製造条件.(6)回収水中のスラッジなどのその他の諸条件.と云った多くの因子に影響されます。しかし連行空気量は一般的にはAE剤の使用量に比例してほぼ直線的に変化するので、必要に応じてAE剤の使用量を増減して所定の空気量が得られるようにします。

なお、以前はAE剤と言うとヴィンソルレジンが代表的でしたが、最近は泡切れが良い物、硬水に強い物、フライアッシュにも少量で効果の得られる物、など種々のAE剤が開発され実用化されていますので、是非これらのAE剤も用途にあわせて使ってみて下さい。


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