減水剤は空気を連行しないので、凍結融解に対する抵抗性の改善にはあまり効果はありません。しかし、空気連行性持たないのでポンパビリティーの低下や打上り面の気泡跡などの問題点を解決することが出来ます。また、減水剤はセメント粒子に直接作用するので、セメントの凝結速度をコントロールすることも出来ます。
AE減水剤は複合競技の選手
AE減水剤は減水剤とAE剤の作用を併せ持つものを言います。AE減水剤には、リグニン系の様に、もともと一剤で分散効果と空気連行性を発揮する界面活性剤を主成分としている物と、オキシカルボン酸系やポリオール系の様に、空気連行性を持たない減水剤成分にAE剤成分を配合した物とがあります。最近は減水剤とAE剤を組み合せた製品が多くなって来た様ですが、メーカーの立場から言うとこの様な合剤系の製品の方が開発し易いと云う側面があります。たとえば、空気連行性を持つ素材では使用量が限定されてしまいますし、連行空気が必ずしも耐凍結融解抵抗性を改善するとは限らないので、せっかくの素材も商品化出来ないことがあります。これに対して、減水剤の成分とAE剤の成分をそれぞれ別個に探索すればその方が効率が良いですし、両者をうまく組み合せることで製品に特徴を持たせることも可能になります。
このようにAE減水剤は減水剤とAE剤の作用を併せ持つので、AE減水剤としての性能や効果も、減水剤とAE剤の性能効果が累加したものになります。スポーツに例えると、水泳の個人メドレーやスキーの複合競技の選手のように、得意種目を軸に高い総合得点を上げるタイプと言えるかも知れません。
AE剤・減水剤・AE減水剤の主要効果をまとめると表-1のようになります。
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