コンクリート中の連行空気泡は、それぞれ独立してセメント粒子および細骨材粒子の周辺に均等に分布し、ボールベアリングのような作用をするのでコンシステンシーが向上します。また、コンクリートはプラスチックな状態となって、材料分離に対する抵抗性が著しく向上します。このため、AEコンクリートはプレーンコンクリートに比べて細骨材率や単位水量を減らすことが可能になります。その程度は、セメントや骨材の種類、コンクリートの配合等によって幾分異なりますが、一般的には空気量1%につき単位水量を約2%減らすことが出来ます。単位水量が2%減少すると水・セメント比が約1%小さくなりますから、空気連行による強度低下分とほぼ相殺することになるわけです。
凍害防止機構
コンクリートにAE剤を使用する最大の目的は、凍結融解に対する抵抗性の向上とワーカビリティーの向上です。ここでは凍結融解に対する抵抗性のメカニズムについて説明しておきましょう。
図-2の模式図で(1)は通常の状態を表わします。(2)はコンクリート表面の温度が下がって、表面に近い所の水分が凍結した状態ですが、ご存知の様に水は凍結すると10%近くも体積が増加して大きな膨張圧を生じます。この圧力は内部に向かうわけですが、近くに気泡があると、まだ凍結していない自由水を介してこの圧力を逃がすことが出来るのです。更に(3)(4)と水分の凍結が内部に進行しても同様の現象が繰り返され、コンクリートは膨張圧による破壊を免れます。
このように、コンクリート中の連行空気泡は自由水の凍結による大きな膨張圧を緩和する働きをするため、凍結融解の繰返し作用に対する抵抗性(耐凍害性)が飛躍的に増大するのです。
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