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水の話
株式会社浅見製作所
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■水の話 〜化学の鉄人小林映章が「水」を斬る!〜
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3章 水資源 小林 映章

3.2 日本における水の使用と汚染

3.2.3 生物由来廃棄物と水質汚染
―人口密度が高まると生物の出す廃棄物による水の汚染を防ぐのが難しくなる―
 前節で、私達人間の排泄物や畜産廃棄物が地下水の大腸菌汚染を招いていることに触れましたが、こうした「生きている生物」が出す廃棄物による水質汚染は、勿論大腸菌汚染に止まりません。ここで、生物、特に動物由来廃棄物と水質汚染について考えてみます。

(生物の出す廃棄物)
 私達人間を含む動物の出す廃棄物には、日々食物を取り入れ、栄養分を摂取した残り滓として排泄する糞尿や、日常生活に伴って出す各種有機性廃棄物など種々様々なものがあります。私達の糞の40%くらいは末路を迎えた腸内細菌だそうですが、これらは動物の死骸と似たようなものと考えることができます。さて、これら廃棄物の多くは有機物ですが、勿論無機物も多量に含まれています。人間をはじめ生物の排出物には、窒素化合物やリン酸化合物など、植物の生育に必要な栄養物質が多量に含まれています。

 生物由来廃棄物は、昔は土の中に入って土壌細菌によって分解され、CO2、H2O、NH3、CH4、リン酸塩といったような低分子の化合物に変化して、今云われているような環境汚染とは無関係でした。しかし現在のように廃棄物の量が増えると土中に埋めて自然分解というわけにはいきません。周知のように人や動物が排出する廃棄物の多くは、集中処理場に集められて、活性汚泥処理が行われます。これは生物廃棄物を分解する微生物を高濃度で生育している場所に廃棄物を送り込み、微生物が活動するのに最適な環境をつくってやって、土中の細菌分解と同じことを人為的に効率よく行わせているわけです。このような処理場は、大腸菌などが活動しにくい環境に設定されています。

(環境汚染)
 生物由来廃棄物による環境汚染が問題になるとき、先ず水質汚染が取り上げられるのは何故でしょうか。ダイオキシン汚染のように、土の汚染や大気の汚染も問題になってよさそうです。これが特に水質汚染に結びつくのは、生物廃棄物は、化学の言葉で言えば大部分が有機高分子化合物か微生物で、そのままでは大気中に蒸散していくことがないし、土の中では、残留して困るような物質はことごとく微生物分解を受けてしまいます。しかし、水にはリン酸化合物のような低分子の化合物も、タンパク質のような高分子の化合物も溶けやすく、また細菌のような化合物の複合体も容易に分散してなかなか消滅しません。

 水質汚染で大腸菌汚染が見出されたということは、人や家畜などの生物の排泄物が直接水中に浸出した可能性のあることを暗示しています。ということは、このような排泄物は、大腸菌あるいは病原菌などに適した棲息場を提供しているからです。私達は長年きれいな環境で生活してきたため、そのような菌類と共存できないようになっているため、大腸菌汚染に代表される水質汚染はときに深刻な問題を引き起こしてしまいます。

(富栄養化)
 話は変わりますが、戦後日本人の生活が豊かになるにつれて、湖や沼の富栄養化が問題になってきました。諏訪湖では富栄養化がもとで、湖にボートも浮かべられないようになったことがありますし、近年では霞ヶ浦なども富栄養化による水生植物の繁茂が問題になっているようです。

 「富栄養化」とは、水中に溶存する窒素化合物、リン酸化合物などの栄養塩の濃度が高まり、水域の植物の生産活動が高まっていく現象を云います。水域が富栄養化すると、プランクトンや水生植物が大量に発生して、水の華、赤潮、青潮などの現象が起きます。

【水の華:春から夏にかけてプランクトンの大繁殖  によってできる濃い緑色の水の層
  赤潮: 同様に赤色の層
  青潮: 同様に青色の層】

 上記のような現象が起きますと、水中の溶存酸素が不足して魚類や藻類が死に、カビ臭やドブ臭などの異臭が立ちこめます。

 富栄養化に最も重要な役割を果たすのは窒素化合物とリン酸化合物です。植物の三大栄養素といえば、窒素、リン、カリウムですが、一般に水中には植物の生育に必要な窒素、リンが少なく、生産活動は大きく制限されています。しかし、人を含めた生物の排出物は、窒素化合物、リン酸化合物を多量に含んでいるので、これらを含む排水が水域に供給されれば当然富栄養化をもたらし、プランクトンや水生植物などの生育活動を活発にします。

 生物由来の廃棄物の他に、洗剤中のリンや工場からの排水に含まれる窒素やリン、農地から流出する肥料なども富栄養化をもたらします。

(BODとCOD)
 水の有機物汚染を調べるモノサシにBODとCODがあります。

 BOD(Biochemical Oxygen Demand)は、酸素が十分ある条件下で、微生物が増えたり、呼吸したりすることにより消費する酸素量を表します。一般に、20℃で5日かけて微生物が消費した酸素の量を調べ、mg/l又はppmで表します。参考までに、いろいろな水のBODを次に示します。

生活雑排水: 200ppm
山間部の清流: 0.5ppm
魚の生息が可能な値(上限値):
       イワナ 2ppm  サケ、アユ 3ppm   コイ、フナ 5ppm

 COD(Chemical Oxygen Demand)は、調べる水に薬品(酸化剤)を入れ、有機物を酸化するときに消費される酸素の量を測り、ppmで表します。酸化剤の種類、その他により幾つかの測定方法があります。

 BODとCODは同じ値を示さなければならないはずですが、必ずしも同一値は示しません。かなり異なった値を示すといった方がよいでしょう。

 有機物の量を正確に表すといった意味では、CODの方が正確です。BODは水中の微生物で測定するので、もし微生物が餌として利用できない有機物が含まれていれば、その分だけ値は小さくなります。

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