「現在の産業企業システムは、18世紀半ばの産業革命以降営々と長い年月を経て築き上げられてきたものだ。その仕組みが21世紀初頭のIT革命の浸透によってガラガラと音を立てて崩れ去っていく。」(週間東洋経済11/20号 特集「21世紀の衝撃IT革命」より)
「................平和で秩序正しい日本人。誇るべきである。だがそれが異質なものを排除する極端な閉鎖性につながり、社会の活動を奪い始めた。大転換期に歯車を回すのははみ出した人間だと、孫さんは言う..........」(12/6毎日新聞より抜粋)
「訳のわかった人は自分を世の中に適合させる。わからずやは自分に世の中を適合させようとがんばる。だからすべての進歩はわからずやのおかげである。」(B.ショー、「人と超人」より)
IT革命の中心は若い人たちと聞く。彼らは属する企業の歯車にすぎず、企業戦略に踊らされただけとの皮相的な見方もあるが、IT技術の進歩に合わせ彼ら自身の思考も間違いなく進歩させてきたと思う。「こうあるべきだ!」と理想を掲げ、「そのためにはこうしたら?」と情熱を持った行動原理が醸造され、それが自身のものになっていったのである。
明治維新を実現させた原動力はいじらしいほどひたむきな若い人々であった。私が尊敬する作家、司馬遼太郎氏への追悼文の一節に、「彼は人間の試行錯誤を肯定し、実験によって真実を見る自然科学の精神に近いものの考え方、見方を是とした。彼が主人公として選ぶ人物はそれぞれの時代の中で勇気とパッションを持ち、合理的、実際的に事にあたった人間ばかりであった。彼らはすべて時代という降りかかる火の粉を払う人間であった。逆にいえば彼は観念主義者、教条的な官僚主義的考え方を嫌った。”言葉ではなく行動を、その行動は日々の務めを果たすほかはない”彼の描く英雄逹はまさにそういう人たちであった。」とある。
氏のこうした視点が私を捉えて放さない。
「IT革命の浸透」、「大転換期」、「わからずや」、この三つのキーワードを我々コンクリート製品業界に係わる人たち、特に若い人たちに送りたい。ひたむきな挑戦を期待して。
来春から単なる精神論だけでなく、具体的に「あるべき姿」、そのために「こうする」という方策を提案したい。
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