■私のコンクリート補修物語
第5部 防錆剤を用いたコンクリート補修 堀 孝廣

5-2 浸透性防せい剤

 1980年代半ば(株)小野田(現太平洋マテリアル(株))では、塩化物イオンを含んだコンクリートの補修工法として、亜硝酸カルシウム系防せい剤(デソルト)を、コンクリート表面から塗布する工法を開発した。従来、塩化物イオンを内在したコンクリートに対しては、打つ手がなかったのでこの方法は画期的なものであった。この方法は、表面に塗布した防せい剤(亜硝酸イオン)が、徐々にコンクリート内に浸透・拡散していき、鉄筋位置まで到達して鉄筋に不動態膜を形成して、腐食を抑制するというものだったので、本当に防せい剤が何センチもコンクリート内に浸透していくのかという疑問を誰しもが持った。(株)小野田ではデソルト研究会を設置し、大学を始めとした各研究機関に亜硝酸イオンの浸透性に関する研究を委託し、実証実験を進めた。

 その一例を以下に示す。


前のページへ目次のページへ次のページへ