久しぶりに娘の友達の米国ギャルに電話をした。肝心の娘がいま米国に遊学中!なので、親がお相手をしている格好だ。若い娘は万国共通で、オヤジなんか相手にしないから、積極的に私に電話なんかよこさない。妻と下の娘が、クリスマスだから夕食に招待した方がいいよ、と言うのでダイヤルしたのだ。
カキなべをするから来ない?と言うと、喜んで行くという。誘いを待っていた感じもあった。少し遠慮があったのかもしれない。シアトル出身の彼女は海産物が好きだという。味噌味だよ、というと、ぜひトライしたいという。日本人以上に愛想のいい娘である。
下の娘と一緒に彼女と駅で待ち合わせた。クリスマス商戦のにぎやかな街中を少し歩く。故郷の米国の今の時期は、クリスマス一色だろうと語る彼女の心は、この地方都市の街中にはないようだった。29日から来年4日まで家に帰るようになったという。老衰した祖父を見舞うためとヨーロッパにいる恋人が年末に帰国するためだという。すこしホームシックにもなっている、と素直であった。
日本で英会話学校の教師をしながら、学生時代のローンを返している。二つの学部を卒業したようで、かなりの額になる。生活も苦しいようだ。数年後には大学院に行きたいとも言う。そうしたスタイルは米国で普通らしい。30歳を過ぎてから本格的に自分の行く道を決めるのだ。
今回の航空運賃は年末で高かったらしい。暇なシーズンの倍だそうだ。彼女の両親と祖父母が合わせて8割ほど負担してくれたという。やさしいクリスマスプレゼントですと彼女はすこし目を潤ませた風だった。
カキなべの味噌味はやはり違和感があったようだが、それでもなんとか食べられた。だめだったらステーキをと妻は用意していたようだが、不要だった。なべのおいしさより、温かさを味わったようであった。
彼女の誕生日に妻と下の娘があげたマフラーと手袋をして、彼女はなんども手をふりながら駅の人ごみの中にまぎれていった。そんな彼女の後ろすがたに私は、いま異郷の地にいる上の娘を見ていたのかも知れない。
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