私は隠れ(でもないか!)演歌ファンである。ダサいと言われようが、みんな同じパターンと言われようが、演歌チャンチャカチャンが好きである。演歌の嗜好度と教養は反比例するといわれるから、私の頭の程度は推して知るべしである。
先日のNHK歌謡番組も目を輝かして(妻の形容である)見た。常連の五木ひろしや小林幸子は相変わらずうまい。鳥羽一郎もいい持ち味だ。コロッケが出てきて、形態(顔面)模写で笑わしてくれたが、これも歌と歌手がイメージとして、しっかり我々に植え込まれているから笑えるのだ。演歌歌手の庶民(ジジババ!)への浸透度はすごい。
山形の農家のおじさんが渋い着物で出てきた。さくらんぼを作っているという。
話すのもなんとなく土くさい。しかしなんと彼は歌手だった。いまカラオケでヒットしているのだと紹介された。「孫」という歌である。そう言えば着物の前に孫の字が染め上げてある。
ほのぼのとしたいい歌だ。からだに似合わず優しい声だ。じいちゃんはおまえが可愛くて仕方がない、このもみじのような手、赤いほっぺ、若いころ忙しくておまえの父親にやさしくしてやれなかったから、代わりにおまえにしてあげるよ、という内容の歌だ。
以前ヒットした、「娘よ」という歌があったが、今度はその世代も老けたから、「孫よ」というわけだ。明らかにシニア世代をターゲットにしている。シニアマーケティングの典型みたいな傑作!だと思う。仕掛けたひとは目端がきいている。
若い人はCD,MDを購入するから、明確な音楽商品のマーケットが存在するが、シニア世代は買わない。カラオケで歌うだけである。演歌関係者は食べていけないのだろうなと思っていた最近、友が教えてくれた。
音楽著作権協会の集めるカラオケ使用料が大きいのだそうだ。教会では250人もの人を抱え、夜の盛り場のカラオケに目を光らせている。その収入が 700億近くあるらしい。最近若い世代のアーティストが、このシステム(どんな?)は演歌サイドに一方的に有利であるとし謀反を起こしているという。
その友はさらに、演歌は古典芸能化しているという。ちょうど長唄か清元のように。そのうち保存会でもできるかも知れないよとも言う。そんなばかな!
ところで、わが娘たちよ、「孫」の歌いつ歌えるの?
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