最近はコンサルタント業なるものが隆盛である。いかがわしいものから、正統派までとにかく幅広い。いずれにしても、その道のプロから適切なアドバイスや指導を受けるわけで、全てが複雑化、高度化した今日では、用いて便利な代表的なサービスと言えよう。それにはコスト(フィー)が伴うことも、最近では一般に受け入れられてきたようである。この分野も欧米化してきたと言えよう。
14年前、仲間と会社を興した時、技術コンサルタントの看板をあげた。所有する技術に深さがなかったことと、教育指導のサービスにわれわれの適性を感じたこと、さらに投資がほとんど要らないことなどが理由であった。コンクリートに関して便利屋さんになろうと誓いあって、不確かで先の見えない道を歩きだした。
私は新製品、新技術の開発が担当ということになった。仲間はただちに仕事を求めて東奔西走した。私は自分自身の技術履歴をチェックし、浅薄な分野の知識補給に勤しむ。そして自分なりの開発手法の体系化に取り組む。
そんな折、仲間の一人が新製品開発の仕事をとってきた。初仕事だ!
ところが、これは、まったくコンクリートとは関係ない美容の分野だった。何でもいいからコンサルしますと友人に頼みまわった仲間の手柄(?)だったのだが。
2店ほど経営している美容店の男主人が、パーマの新しいやり方を考えたのだ。
手先の器用な者ばかりが美容師になるのではないという。髪の毛をクルクルとうまく巻けない者もいる。そこでプラスチックの小道具を使ったアイデア商品を思いついたのだ。聞いたところまだ原始的アイデアの段階で、具体的商品のイメージも湧いていないようだ。材料の知識もないから、夢のような万能材料を指定する。特許を取って全国展開するのだと目を輝かせる。
気乗りしなかったが仲間の友人への義理で、結局受けることになった。なじみのない業界ゆえ、噴飯の失敗もあったが、3ヶ月後、商品設計と特許申請が可能となった。商品の製作会社と弁理士をその発明美容家に紹介し、私の初仕事は終わった。事業化したいのでぜひ手伝ってくれと言われたが、不案内な業界ゆえ、間違っては、と固辞した。
いただいたコンサルティングフィーは、調査に奔走し、現場ヒアリングをし、試行錯誤の繰り返しの実験に見合うものではなかった。が、しかしその後の新製品開発手法をでっち上げる(!)貴重な経験となった。
この新技術が、その後のパーマの主流となったという話は聞かない。
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