2.1 溶解成分の異なる水
2.1.1 純水
(2)超純水
理科の実験では、イオン交換樹脂を通して脱イオン処理をした水(イオン交換水又は脱イオン水)や、水を加熱蒸留した蒸留水を純水として使います、またイオン交換水をさらに蒸留した純水を使うこともあります。
それに対して、ここで云う超純水とは、純度100%の理論的な水に限りなく近い高純度の純水のことで、不純物を出来得る限り除去した水(純水)をさらに精製して純度を高めたもので、不純物が極めて少なく、電気伝導率が非常に小さい水です。
超純水は半導体の製造が高度になるのに伴って開発されてきました。半導体の製造過程では何かの処理の後では必ず洗浄という過程が入ります。そこで使われる水の純度はそのまま半導体の歩留まりに影響します。そこで、半導体の機能や性能に直接関連する電解質は勿論、微生物、固形微粒子、有機物などを徹底的に除去した超純水が必要になります。この超純水の製造方法を図8に示しました。
図8に示したように、超純水を製造するには、一般の浄水場で処理した水を、イオン交換装置や逆浸透膜純水製造装置を通して無機イオン等を除き、これを脱気装置を通して溶存ガスを除き、次いで殺菌し、それをさらに脱塩し、限外ろ過装置などで微生物や固形粒子などを除去しています。
現在超LSIの製造に使用されている超純水の電気伝導率は6×10-8S/cm以下ですから、ほぼ純粋のH2Oの電気伝導率5.5×10-8S/cm(25℃)と等しく、半導体がいかにきれいな水を使用しているかが分かります。このような水はH2Oの電離以外のイオンはゼロで、岩石から溶解してきた無機塩類や、空気に晒されている間に溶解してきた空気中のCO2など、全ての溶存電解質が除かれています。
このような電気伝導率になりますと水といえども内部で静電気が発生することがあります。そのためそれを防ぐ目的で、逆に、純度の高いCO2を溶解させて電気伝導率を上げることも行われています。
超純水は超LSIの製造に用いられるだけではなく、原子力発電プラント用水、医療の注射用水、バイオテクノロジー用水、光ファイバーや液晶ディスプレーの製造用水など多方面に利用されています。また、個々の技術はさらに多方面で利用されています。海水淡水化で逆浸透膜法が威力を発揮していることはよく知られているところです。コンクリートの分野では、コンクリーを練るのに純水は使用しませんが、研究室できちんとした実験をする場合には純水を使うことがありますし、コンクリートに使用される各種混和剤などの研究、製造には純水が欠かせません。コンクリートを扱っていて、何か予期しないことが起きたときには、使う水によってはその純度を疑ってみることも必要でしょう。場合によっては、超純水とはいかなくても、適度の脱塩水などを使うのもよいかもしれません。
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