第2章 土の基本的性質および物理的性質
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2.1 土の相構成
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土は、色々な粒径をもった鉱物粒子の集合体で、それが骨組をなしそのす
き間に水や空気が入っている。すなわち、土は基本的に次の3つの相から成
り立っている多孔質なかたまりである。
(1)固相(solid phase):鉱物粒子(有機物を含むこともある)が構成
している骨組の部分。
(2)液相(liquid phase):土粒子間の間隙の一部あるいは全部を満たし
ている土中水。
(3)気相(gaseous phase):間隙のうち水で占められていない部分で、ガ
スあるいは蒸気がが入っている部分。
液相と気相とが占める部分を間隙といい、その間隙が水で満たされている
場合(飽和の状態)および水が全くない場合(絶乾の状態)における相構成
は2相となる。これらの相構成をわかりやすく模式図で表わすしたのが図−
2.1である。
図−2.1 土の相構成
土質工学では、土の状態を判定したり、また、土の強さ、変形および圧力
を考える際に、土の状態定数として各相相互の割合を知っておく必要がある
ことが多い。
各相相互の関係を表わすのに、体積割合として間隙比、間隙率および飽和
度など、また、重量割合として含水量や密度など、いくつかの約束された表
現がある。土質工学を学ぶにあたっては、まず、これらの基本的なことがら
をよく理解しておく必要がある。
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2.2 土の構造
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前節で鉱物粒子が骨格を形成し、その間隙にガスや水などが入っているこ
とを述べたが、その骨組をなす土粒子の配列の状態を土の骨格構造あるいは
土の構造という。
土の強さや圧縮性などの性質は、土の構造に関係が深い。たとえば堆積土
をいったん乱すと、含水量や密度が変わらなくても、その土の強さが著しく
低減する。これは、もとの構造が壊されたことによって起こる性質の変化を
示す良い例である。
堆積土の構造を分類すると、基本的に次の3つの型に分けられる。
1.単粒構造、2.ハチの巣構造、3.綿毛構造
(図−2.2)
これらの構造の様式を変える主な因子は、土粒子の大きさと形状、土粒子
界面の性質、土粒子の鉱物組成および堆積時の環境(水の性質、流速など)
などである。とくに粘土粒子の配列や方向性は、土粒子の鉱物組成や土粒子
面の性質に影響されることが大である。
図−2.2 土の構造の基本モデル
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2.2.1 単粒構造
粒径が0.02mm以上といった比較的大きい粒子だけが集合してできている土
の場合の構造である。いわゆる砂地盤や砂礫地盤などの粗粒土における構造
である。このような構造の土を問題とするときは、個々の粒子の接触状態、
間隙の量やア−チ作用によって起こる大きな間隙の発生などが、土の安定や
圧縮性に大きく影響する。たとえば、ゆるい砂地盤の改良を行なうのに、振
動や衝撃似よって砂地盤を締め固める方法がある。これは粒子の再配列をう
ながし、土の構造のあり方を変える一例である(図−2.2(a))。
粗粒土で、粒径の分布や均等性および細粒土分の混入量などを問題にする
のは、それらの性質によって土の構造のあり方や間隙の状態などが変わって
くるからである。
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2.2.2 ハチの巣構造
粒径が0.02mmより小さく、0.002mmより大きいシルトや、それに近い粘土
などが水中を沈降して堆積したときにできる土の構造で、図−2.2(b)の
ように鎖状のア−チを形成している。このような構造の土は、同じ粒径の土
を単粒構造のように粒子が配列していると考えた場合に比べて、間隙量が相
当大きいものとなる。したがって圧縮される量も大きく、また、土粒子の連
鎖を破るような外力(衝撃とか振動など)が加わると、土の強さが低減し不
安定となる。
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2.2.3 綿毛構造
土粒子の大きさに比べて表面積の大きい微細な粘土やコロイドは、それが
水中にあるような場合、粒子が互いに反発したり、引き合ったりする力が重
力作用に比べて大きい。その粒子間に働く力は、土粒子の界面がもっている
電荷の大きさによってその力の大きさが変わる。今、水中に浮遊している微
細粒子を考えてみると、極性が同じで電荷の大きい粒子は互いに反発しあっ
て、なかなか沈降しない。そのような水の中に多量の電解質(濃度の高い食
塩など)を加えてやると、粒子は電荷を失って、相互にくっつき合い粒団を
つくる。この粒団は、適当な大きさとなって沈降していく。粒団個々の見掛
けの大きさは砂の粒子ほどもあるが、粘土粒子間のすきまは大きい。このよ
うな粒団が重なりあってできた土を綿毛構造とよび、粒子間の結合は強いが、
きわめて間隙量が高い(図−2.2(c))。
各粒団の粒子の結合状態や配列の状態は、粘土鉱物の種類や水に含まれる
電解質の種類および量などによって変わる。図−2.3の2つのモデルは、
(a)が、ランダムな粒子の配列、(b)が定向性をもった粒子の配列を示
したもので、(a)は活性の高いモンモリナイト系粘土の場合に、(b)は
不活性のカオリナイト系粘土の場合に考えられる粒団である。
図−2.3 粘土のフロックと粒子配列
以上述べたように、綿毛構造をもった土は一般に間隙が大きいので、堆積
時代の新しいものでは、圧縮変形量がきわめて大きい。しかし、堆積後長い
年月を経たものは、粒子間の結合力が強いので、ハチの巣構造などに比べて
構造がこわれにくいが、こね返して構造をこわすと強さを失い、やわらかい
ドロドロの状態になる。
以上は土の基本構造を示したものであって、実際の土では、色々な粒径の
粒子が混じり合っているので、各構造様式の複雑なメカニズムで土の構造が
成り立っている分けである。
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