■コンクリート製品技術者のための離型剤入門
3. コンクリート製造条件との関連 荻原 純一

(3) 養生条件

 二次製品工場においては、一般に蒸気養生が採用されています。
 離型剤的(あるいは表面の仕上がり具合)に影響があると思われる要素を以下に記述します。

 以上を考察すると、離型剤の油膜はコンクリート打設時摩耗により、より薄膜となり存在するが、養生から脱型までは動的な条件は加わらないので、型枠と硬化したコンクリートとの界面にあり、離型剤としての役割を果たす。

 しかし、養生の時間、温度等によりコンクリートの硬化の度合い(コンクリート強度及びコンクリート中の水分)が異なる。

 この過程において初期はコンクリートの間隙はセメントペースト、水分によって満たされているが、硬化が進むと共に離型剤の一部が内部に浸透し型枠面の油膜が減少する。

 この点と脱型時のコンクリート強度の発現の要素がコンクリートの脱型性に対し油膜の減少はマイナスに作用し強度はプラスに作用する上にコンクリートの強度発現に伴い型枠とコンクリートの付着(接着)力も発生してくるので、脱型性にはマイナスに作用することとなるので、離型剤的対応も種々なものになるものと考えられる。

以 上


あとがき

 コンクリート用離型剤についての資料の中では一般的な対応方法を述べています。

 製品工場技術者の皆さんの離型剤への関心が深まれば幸いです。

 製品工場はそれぞれ生コンの配合、型枠、打設方法、振動方法、養生方法等が異なっていますので、製品工場ごとに適正な離型剤は異なります。また、現実的には無理ですが、究極的には個々の製品ごとに、適正な離型剤を選択できれば、綺麗な製品ができると思います。しかし、それは現実的には難しいので、工場のラインや製造場ごとに離型剤を選定しているのが現状です。

 二次製品工場ではコスト削減で配合変更、工程変更等実施していることと思います。製造条件が変更されますとそれに伴い製品の仕上がり状況が変わってきます。従いまして、それに合わせた離型剤も必要になってきます。当社では、現在200~300種類の離型剤がありますので、個々のユーザーに合わせた離型剤を選定することが容易にできますし、個々のユーザーに合わせた離型剤を試作することも可能です。もし、製品の仕上がり等でお困りでしたら、当社までお問い合わせ頂ければ、お伺いして対応させて頂きます。

 また、当社は離型剤の他、補修材(剤)[例えばレジメントMシリーズ、ホシュール等] 化粧材[レジメントコン美、レジカラー]、鉄筋用防錆剤[クリアコート#2000、クリアコートOne(ワン);建材試験センター試験報告書あり]や白華防止剤等も扱っております。

 信越産業は離型剤メーカーとしてだけでなく、コンクリート関連副資材メーカーとしても活動しておりますので、今後とも宜しくお願い申し上げます。

 今回はインターネットでの講座ですが、ご要望があれば、製品工場等に伺って離型剤の講演をすることも可能です。生講演でなくてはお話できないような内容もありますので、お問い合わせやご連絡をお待ちしております。


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