接着剤はそれが間に入って被着体である、あるものとあるもの、とを互いに結合させるもので、太古より天然物のデンプンやタンパク質を主成分とする糊を始めとして、非常に多くのものが使用されてきた。
接着剤があるものとあるものを結合させるには、接着剤成分が両被着体に対して付着性があり、しかも接着結合が完成するまで自由に運動できなければならない。結合が完成した後は完全に固着することが強い結合を生じる基本となる.このために接着剤は接着作業中は液体で、作業完成後は固体(状)であることが望ましい。
接着剤を物性で分類すると、
- 溶液型
- 常態で固体の接着剤成分が溶媒に溶けているか、分散している。溶媒の除去により接着は完成する。現在この型の接着剤が最も多く、先に述べたコンクリート補強用ポリマーディスパージョンもこの型に入る。
- 液状・硬化型
- 常態では液状で、被着体に接した後に硬化して固体に変わるもの。
ホットメルト型
-
常態では固体で、加熱により溶融して液状となる。被着体に接触させてから加熱溶融し、ついで冷却して接着を完成させる。
- 液体型
-
接着作業中も接着後も固体に近い極めて粘稠な液体である。粘着剤(テープ)がこれに入り、接着力は弱い。
さて、コンクリート(モルタル)であるが、これはセメントがバインダー(接着剤)となって骨材を互いに結合して巨大な構造物を形成したものと見ることができるが、それ自体、例えばブロックを積むときに使われるように、「接着剤」でもある。これはセメントなどが水に分散したセメントペーストとして使われるので、溶液型であるが、分散媒の水がセメントと反応して硬化するので、液状・硬化型ともいえる。
通常の接着剤を使用するときに留意すべきことは、これらが液体から固体に変化する過程で歪を生じて結合力(接着力)を弱めるので、被着面を平坦に仕上げ、歪が生じないようになるべく薄く塗布しなければならないということである。これに対して、コンクリート(モルタル)は、それ自身が構造体としての強度を有するものであるから、いくらでも厚く塗布することが出きる。使われ方も厚塗りである。これがコンクリートの接着剤としての最大の特徴で、この意味においてコンクリートは接着材である。
|