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水の話
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■水の話 〜化学の鉄人小林映章が「水」を斬る!〜
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3章 水資源 小林 映章

3.1 水資源の現状

3.1.1 世界の水資源
(2) 世界の水資源不足
―過去一世紀の間に世界の水使用量は9倍に増加、2025年には世界の40%の人々が深刻な水不足に悩まされる―
 文明は水に支えられて発達してきたと云われています。都市がだんだん大きくなると、水は遠方の水源から送られるようになり、ダムや水道橋といった土木技術も高度になっていきました。18世紀末の産業革命や、19〜20世紀の人口爆発に伴って、水の需要は劇的に増大しました。洪水を防止したり、水資源を保全するために、歴史に残る土木構造物が多数建設され、数億人の人々に大きな利益をもたらしました。

 しかし、水の恩恵は人類にあまねく及んだものではなく、文明の進歩にもかかわらず、世界の人口の半分は未だに水不足に悩んでおり、古代ローマ人やギリシャ人よりも少ない水しか供給されていません。2000年11月の国連報告書によると、安全な飲み水が不足している人は世界で10億人以上に達し、およそ25億人は適切な衛生サービスを受けていません。

(世界の水使用量)
 河川や地下水層帯などから汲み上げられた水の使用量は、1900年以降大幅に増え、世界の水使用量は現在までにおよそ9倍になっています(図10)。

 しかし、同じ期間に一人当たりの使用量は2倍弱しか増えておらず(図11)、最近は減少傾向にあります。これは好ましい傾向といえますが、専門家の多くは水の利用効率が改善されても、世界規模の人口増加には追いつかないと心配しています。

(世界の水供給見通し)
 それでは、今後世界の水の供給はどのようになるか、日経サイエンス、2001年5月号の記事を参考にして表にしてみました(表12)。

 表12によると、世界の約60%の人口は2025年時点で水の供給に余り不安を感じないですみますが、40%の人々は深刻な水不足に悩まされる心配があります。

(水不足を解決するには)
 それでは、専門家は、水不足はどのようにしたら解決できると考えているのでしょうか。

[1] ダム建設
 水源を保全するためのダムの建設はどうでしょうか。

 1900年以前には、貯水量1億m3を超える貯水池は世界で40ヵ所しかありませんでしたが、現在では3,000ヵ所を超えています。この貯水池では総計6兆m3の水を貯えています(これはミシガン湖とオンタリオ湖の合計水量に匹敵します)。

 しかし、ダムなどの大規模開発が環境に与える影響が明白になるにつれて、世界各地でダム建設に対する反対運動が起き、その動きは激しくなるばかりです。日本でも長野県の田中知事がダム建設を全部ストップすると宣言して注目を集めました。ダム撤去に動き出した国も増えています。フランスやアメリカでダム撤去が相次いでいます。アメリカでは過去数年間に、老朽化によって危険になったダム、環境に悪影響を与えていたダムがおよそ500ヵ所で撤去されたと云われています。

 このように見てきますと、ダム建設によって水不足が解決されるとは考え難くなります。

[2] 水の節約
 水の需要は一部で予想されていたほど急激には増えていないようです。

 先進国では一人当たりの取水量は減少しています。これは一つには多くの人が水を有効に使う方法に気付いたこと、もう一つには地域社会が水利用の優先順位を見なおしたことによると云われています。

 日本では、鉱工業生産額100万ドル当たり、1965年には49,000 m3の水を消費していたものが、1985年には13,000 m3に減少し、水使用効率が4倍近く上昇しました。米国でも1980年をピークとしてその後20%以上減少したそうです。産業構造の転換で水の節約はもっと可能と考えられています。

 水を最も使用する産業は農業ですが(世界で使用する水の約2/3は農業用水)、多くの場合利用効率は低いままで推移しています。農業用水の確保、効率的な使用が今後の水不足を解決するカギとなるだけではなく、世界平和の帰趨を決する問題と考えられています。この問題は重要ですが、簡単に論じられる問題ではありませんのでここでの記述は遠慮しておきます。日経サイエンス2001年5月号他、多くの雑誌で盛んに論じられていますのでそれらをご覧下さい。

[3] 水のリサイクル
 脱塩で塩水を淡水に変えることも有効ですが、これは地球全体の水利用のわずか0.2%程度に過ぎず、コスト高が障害となって、当座の間に合いそうにありません。

 そうなると、遠く離れた場所で新たな水資源を探すのではなく、発想を転換して身近で使う水を有効に使用することが当面最も大切と考えられています。

 ナミビアの首都、ウィントフークでは1968年以降再生水を住民の飲料水として利用しており、干ばつ年には30%をまかなうこともあるそうです。

 イスラエルでも、都市部で使う水の70%が再利用されているそうです。主に灌漑農業や飼料用作物の栽培に供給されているようです。

 米国カリフォルニア州でも1990年半ばまでに、年間6億 m3の水が再利用されているそうです。

 日本でも再利用が図られていますが、水不足がまだ深刻でないために、それほど進んでいないようです。

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