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水の話
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■水の話 〜化学の鉄人小林映章が「水」を斬る!〜
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2章 いろいろな水 小林 映章

2.1 溶解成分の異なる水

2.1.3 海洋深層水
―利用するにしても本質を知ることが先決―
 5月31日の朝日新聞に、海洋深層水に関連した短い記事が載っていました。それはアサヒビールが今年春発売して大ヒットした発泡酒「本生」の宣伝・広告で、同社が「海洋深層水を使って発泡酒特有のにおいや水っぽさを取り除いた」などとアピールしているのに対して、キリンビール、サッポロビール、サントリー、オリオンビールでつくる発泡酒連絡協議会が、「根拠不明で、他社製品を中傷している」不当表示に当てはまるとして公正取引委員会に是正処置を申し立てたというものです。これをみると、海洋深層水なるものに対する私達日本人の対応が象徴的に現れているように思われます。

(1) 海洋深層水とは
 まず、はじめに、海洋深層水とはどのようなものか、その本質(と思われるもの)をみてみましょう。

 純水は4℃で密度が最大になりますが、塩分を約3%含んでいる海水はそれとは若干異なり、凍る直前の2℃付近で密度が最大になります。このため、気温が氷点下になる冬期には、表面で冷やされた海水はどんどん沈み込んでいき、それと入れ替わりに下の方のまだ温かい海水が昇ってきます。

 一方、海洋では表層の数十mは昼と夜の温度差により対流や、風や波による乱流で海水が混合されますが、その下の水とはほとんど混じり合うことがありません。これによって、表層の水には大して温度差がないのに、その下には急激に温度が下がる層があります。これを水温躍層といい、上下の水を隔てる壁になっています。

 このようにして、いったん冷やされて沈み込んだ深海の海水は密度が大きくて上方に昇ってこないので、ある程度より深い場所の海水の温度は何処でも1年を通して低い温度で一定になっています。

 この深海の水、すなわち、海洋深層水は、上記のように、そのまま低温で動かない上に、深くて太陽光が届かないので、海草や植物性プランクトンの光合成が行われず、そのため、植物の生育に必要な窒素やリンなどの無機栄養塩がそのまま残っています。また、環境汚染の影響を受けることが少なく、大腸菌などの細菌や化学物質に汚染されておらず、きれいな水です。近年大きな問題になっているPCBやダイオキシンなどの有害化学物質(環境ホルモン)の混入も起こりにくい存在となっています。

【太陽光線の届く深さ: 海面から入った太陽光は、水そのものや、水中に溶けたり、浮遊している物質によって吸収されたり、散乱されたりして、水のきれいな外海でも100〜150mの深さで光の強さは表面での1%以下に減衰します。岸近くや湾内では土の粒子や生物体によって吸収、散乱されて水深30m以内で1%以下に減衰します。外海でも親潮と黒潮がぶつかる水域では生物が増えるため光の減衰が急になります。生物が光合成で生きていくには水面で受ける太陽光の1%以上の光がないと難しいと云われています。

 湧昇: 上記のように、海には水温躍層があり、上下の水を隔てる壁になっていますが、この壁を突き破って深層水が自然に上まであがってくることがあります。これを湧昇といいます。これについては詳しく言及しませんが、栄養物質の補給の面から海洋生物に大きな恵みを与えてくれます。日本では伊豆大島のような島の周りに小さな湧昇がみられます。】

 さて、上記のような性質を持った海洋深層水は、「無限の宝庫」と云われています。いったいこの「無限の宝庫」は何を秘めているのでしょうか。次にこれについて考えてみましょう。

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