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伊藤教授の土質力学講座
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第8章 基 礎(地盤の力学)
8.5 浅い基礎
基礎は、上部構造物と地盤との間にあって、いろいろの形で加わってくる
荷重形態のものを、一様でない多くの種類の土層に伝達する役目を持ってい
る。したがって、その型も非常に多いが、大別すると次の2種に分類するこ
とができる。
その一つは、構造物の直下にある土層が荷重をささえるに十分なくらい強
固な場合である。このときは浅い基礎でよい。荷重を支える層が、地表近く
に存在せず、深い所にしかない場合は、深い基礎が必要となる。これらの代
表的なものは図−8.20に示すとおりである。


8.5.1 フ−チング基礎
荷重が地盤に与える圧力を減らすために、柱や壁の接地部を広げて大きく
したものがフ−チングである。
フ−チングには、いろいろの型があるが、主として経済上の利点から、正
方形のものがよく使われるが、広さの関係で、正方形に作ることのできない
ときは長方形フ−チングが用いられる(図−8.21参照)。また、壁の下
のフ−チングは長方形の連続載荷面をもった連続フ−チングを用いる(図−
8.22参照)。特殊な場合、たとえば煙突や、重い機械の基礎などでは、
六角形のフ−チングも用いられることがある。しかし、特殊な形のため、工
費がやや高価になることは避けられない。

構造的には、フ−チングは、上から集中荷重を受け、下から分布荷重を受
けるということになる。したがって、鉄筋コンクリ−ト構造にすることが望
ましい。フ−チングの受ける下からの土の反力は、通常一様に働くと考える
が、この仮定は砂質土の場合はよいとしても、粘性土の地盤では多少不安で
ある。剛性荷重が粘土に加わったときの土の反力は、荷重面の中央では平均
圧力の約1/2 だが、縁では大きくなる。コンクリ−トは剛性ではないが決し
て一様な分布ばかりではない。やわらかい粘土の上の広いフ−チングに対す
る、よりよい設計反力の仮定は、フ−チングの中央で土の反力を0とし、縁
で平均反力の2倍となる二つの三角形分布である。なお、フ−チングが安定
を維持するために大切なことであるが、荷重の重心がフ−チングの中心にな
るべく一致するように設計しなければならない。

8.5.2 ベタ基礎(図−8.23参照)
フ−チングが非常に大きいため、構造物面積の半分をこすような場合は、
面積を全部おおうフ−チングの方が安上がりである。こにような広げたフ−
チングは、ベタ基礎またはイカダ基礎とよばれる。ベタ基礎にすれば、コン
クリ−トを全面に打つようになるから、フ−チングより型枠費用が安くなる
し、また、スラブが連続しているから鉄筋が少なくてすむなどの利点がある。
ベタ基礎は、粘土の不同沈下を減少させることができるとして利用する人
もあるが、これは必ずしも正しくない。代表的なベタ基礎は、その幅に比較
して厚さが薄いのでたわみ性であるのが一般的である。すなわち、柱が等間
隔で等荷重を受けていれば、スラブの中央はへこむ形になり、ほとんど一様
の圧力を受けると考えられる。剛性基礎として働かせるには、荷重の加え方
にもよるが、スラブの厚さを2~3mにして十分な鉄筋を配置しなければな
らない。


8.5.3 浅い基礎の沈下量を小さくする方法
浅い基礎の沈下は、上部構造物による応力を減らせば、小さくすることが
できる。たとえば、掘削深さを増せば、その掘削土量分だけ掘削底に加わる
構造物による実質応力は経ることになる。また、地下水位より深い掘削にな
れば、構造物に浮力や間隙水圧が上向きの圧力として働くから、これも荷重
を減らす働きをする。したがって沈下量は、掘削時に膨張した土の再圧縮量
と実質的な構造物荷重による沈下量との合計になる。
深く掘れば、以上のような実質応力の減少のほかに、建物の内部空間も増
加することになるから、もし、その空間を利用する可能性があるとすれば、
単なる深い基礎よりも経済的であるといえる。
不同沈下を防ぐには、変形に抵抗できる剛性基礎にすればよい。小さい建
物では、いろいろの方法が考えられるが、大きい建物では剛性基礎にすると、

梁の高さが大きくなるから、図−8.24(a)のような、中間に隔壁をもつ
剛性の箱型の大きなガ−ダ−ボックスが用いられる。また、掘削深さを変え
て、実質荷重強さを一様にする、図−8.24(b)のような方法も考えられ
る。重い部分は、深く掘って沈下量を等しくしようというのである。
発展途上にある商店とか銀行では、その建物の一部を先につくり、残りは
資金の都合がついてから建築することがよくある。これは旧建築と新建築と
の間に不同沈下の生ずる原因となる。両者を別々につくり、比較的たわみ性
の廊下などで結べば被害は避けられるが、そうでないときは、建増し予定地
の上に砂礫の山のごとき先行荷重を載せておくとか、建物の荷重の大きな部
分だけは、初めの建築時に一緒に作っておくとかすることが必要である。
同一の構造物が、明らかに異質の岩盤と圧縮性の土の上に、またがって築
造される場合も、また特別の注意が必要である。これらは別々に作って間を
たわみ性構造物で結ぶか、圧縮性土層の上の部分は、この土層を貫く深い基
礎の上に、つくるなどの考慮が払われねばならない。

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