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伊藤教授の土質力学講座
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第6章 土 圧
6.3 擁壁の設計
土を支える擁壁は、構造によって次のように分類される。



〔重力式擁壁〕・・・基礎地盤の良好な所によく、高さは4m以下が有利。
〔倒立T型擁壁〕・・高さ4〜6m が有利、基礎地盤が比較的不良な場所
〔控え壁式擁壁〕・・高さ5〜7m に用いられる。
擁壁の破壊は多くの場合、基礎の不良によって起こると考えられている。
したがって、擁壁の設計にあたっては、この点を考慮し次のような項目につ
いて検討するのが普通である。
(1)すべり出しに対する安定
(2)基礎地盤の支持力に対する安定
(3)転倒に対する安定
また、施工にあたっては、擁壁背面の水圧にも注意し(水圧が土圧の2倍
に達することもある)、水抜き孔、およびそれが有効に働くためのフィルタ
−を入れるなどの配慮が望ましい。

6.3.1 擁壁設計のための土圧公式
6mより低い擁壁設計のためには、多くの近似的な土圧算定法が考えられ
ている。それらの多くは、粘着性のない土を裏込めにもつ、摩擦のない鉛直
壁に水平な土圧が働くというランキンの考え方にもとづいている。壁の背面
が傾いているとき、土圧は図−6.15(a)のように、壁の底端を通る鉛直
面に働くと仮定する。その場合、鉛直面と壁との間の土のくさびの重さは無
視されることがある。
もし、図−6.15(b)のように裏込めの上にq' の等分布荷重が加わる
なら、それは擁壁に増加圧力として働く。増加圧力P' は(6.18)式のように
なり

壁頂と壁底の中央に働く。
また、裏込めが水平とβの傾きをなすときは、ランキン土圧公式の誘導と
同じようにして、主働土圧PA が求められる。
PA は、図−6.15(c)のように、傾斜した裏込めに平行に、壁底端を通
る鉛直面の高さHの2/3の高さに働く。
裏込めの上に、図−6.15(d)のような集中荷重Q' が働くときは、擁
壁にP' の土圧をおよぼす。P' の大きさは近似的に(6.20)式で与えられ、

それは図−6.15(d)のように、壁底端を通る鉛直面に水平に働く。


6.3.2 重力式擁壁の設計
設計にあたっては、次のような諸力を考え、これらが釣り合うよう、かつ、
安定条件を満足させれるように壁体の諸寸法を決定する。
(1)外力(図−6.16)


Qv=W+Pv−Ppv ・・・・・・・・(6.21)
QH=Ph−Pph ・・・・・・・・・・(6.22)

ここに、Qv:鉛直力の合計(t/m)
QH:水平力の合計(t/m)
W:擁壁の自重(t/m)
Pv、Ph:主働土圧の鉛直方向ならびに水平方向成分(t/m)
Ppv、Pph:受働土圧の鉛直方向ならびに水平方向成分(t/m)
(2)すべり出しに対する安定の検討

ここに、F:壁体のすべり出しに対する安全率
Qv、QH:それぞれ、(6.21)、(6.22)式に示すような力(t/m)
ψ'':土と壁底との摩擦力(表−6.5参照)

(3)基礎地盤の支持力に対する検討
pt<地盤の支持力 ・・・・・・・・・(6.24)
ここに、pt:荷重強度の最大値(t/u)
pt はその鉛直方向の合力が、底部のどの点に働くかにより、図−6.17
に示すように、次の二つの場合に分かれる。
壁底部の2/3 以内にあれば、

壁底部の2/3 を逸脱すると、

ここに、Qv:(6.18)式に示すような鉛直力の合計(t/m)
b:擁壁底部の幅(m)
e:壁底の中心から合力の働く位置までの距離(m)

(4)転倒に対する安定の検討(図−6.18参照)

QvとQHの合力がA点より外に出なければ安全である。その安全率Fは

ここに、F:壁体の転倒に対する安全率
Qv、QH:それぞれ、(6.21)、(6.22)式に示すような力(t/m)
υ:鉛直力の作用点から壁底先
端までの距離(m)
h:水平力の作用点から壁底ま
での距離(m)
重力式擁壁の設計にあたって、諸寸法の
目安は図−6.14を参考にして、次のご
とくである。
b=(0.3〜0.6)h ・・・・(6.28)
t=(0.15〜0.2)h ・・・・(6.29)
ここに、b:擁壁の底部幅(m)
h:擁壁の高さ(m)
t:擁壁の頂部の幅(m)

6.3.3 倒立T型擁壁・控え壁式擁壁の設計
重力式擁壁の設計とほぼ同じであるが、土圧の
計算は、基礎底板後端を通る鉛直面CDに、ラン
キン土圧を作用させると都合がよい。また背面の
底板上にある土体□ABCDは、壁体の一部と考
えて安定を考える。設計上の寸法の目安としては、
図−6.19を参考にして、

b=(0.45〜0.5)h ・・・・・・(6.30)
=0.05h>15cm ・・・・・・(6.31)
=(0.12〜0.15)h ・・・・・・(6.32)

ここに、b:壁底の幅(cm)
:壁頂の幅(cm)
:壁底の厚さ(cm)
h:擁壁の高さ(cm)

6.3.4 裏込めと排水設備
(1)裏込め
擁壁に働く土圧は、かなりその裏込めによって影響されるから、裏込めの
設計はきわめて大切である。理想的なことをいえば、土圧の計算に用いられ
る仮定と一致した材料が良い。すなわち、内部摩擦角が大きく、粘着力のな
い、たとえば川砂・礫・砕いた岩および鉱さいなどが好ましい。粘土やシル
トを含んだ砂・礫などの粘着性材料も有用であるが、入念な排水設備が必要
である。
適当に裏込め材料のないときは、粘土も使用するが、そのときは、壁体が
長年月にわたって働きうるようにしておくか、または、静止土圧にたえうる
ように設計しなければならない。

(2)排水設備
裏込めの設計に重要なもう一つの条件は、土を乾燥状態におくことである。
そのためには、一般に二つの方法が考えられる。すなわち、

[1] 裏込めを水に浸さぬこと。
[2] 裏込めに水が入ったら、これを除去すること。

自然に浸透する水を防ぐのは、なかなか困難であるから、ほとんどの場合
[2]法を用いるが、[1]、[2]の両方を併用することも少なくない。図−6.20
(a)のような水抜き孔は、水平および鉛直に1.2〜2mの間隔で設け、掃除
ができるように、少なくとも10cm以上の直径が必要である。
もし、裏込めが粗砂であれば、図−6.20(b)のように、砂で孔がつま
らないように、各水抜き孔の入口に玉砂利をショベル数杯分置くのがよい。
しかし水抜き孔は、基礎の圧力が最も大きくなる壁体の底部に水を供給する
という欠点を持っているので、多少値段は高くなるが、擁壁の背面に排水渠
を設ける方法も考えられている。壁体に平行に直径15〜20cmの多孔管をフィ
ルタ−で取り巻いて設置するが(図−6.20(c))、掃除のできるように、
多孔管の末端にマンホ−ルを準備することもある。シルト質の砂とかシルト
のような、比較的透水性の低い土には入念な排水施設が必要である。(図−
6.20(d))のような傾斜した排水プランケットと排水渠の組合わせは、
裏込め全体を考慮した排水設備の一例である。


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