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伊藤教授の土質力学講座
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第6章 土 圧
6.2 ク−ロンの土圧論
ク−ロンは擁壁背面の土砂が、くさび形をして移動する場合の壁体と土塊
のつり合いから、土圧を求める方法を考案した。この考えをもとにして、そ
の後、改良・工夫が行なわれ、多くの計算法、求め方があみ出されたが、大
きく分けると解析法と図解法の二つになる。このうち、図解法は、かなり複
雑な条件のもとでも、比較的簡単に、土圧を求めることができるので非常に
便利である。

6.2.1 ポンスレの図解法
ポンスレは、擁壁背面の土砂状態が簡単な場合、土圧三角形を図解して求
め、その面積から土圧の大きさを知ろうとした。図解の手順は、次のごとく
である。

〔主働土圧〕(図−6.9参照)

(1)壁底Aから水平に対し、反時計回りにψ線(ψ:土の内部摩擦角)を
引く。背部の地表面との交点をBとする。
(2)ABを直線とする半円を描く。
(3)壁頂Cより準線に平行に、CDを引き、ABとの交点をDとする(準
   線:壁裏に垂線を立て、壁と土との摩擦角δを反時計回りにとり、こ
   の線と鉛直線との挟む角をαとする。この角αを(1)のψ線より時
   計回りにはかって引いた線を準線という)。
(4)DよりABに垂直線を立て、円周ABとの交点をHとする。
(5)Aを中心として、半径AHで円を描き、ABとの交点をIとする。
(6)Iから準線に平行にIJを引き、地表面CBとの交点をJとする。
(7)Iを中心としIJを半径とする円と、ABのA側交点をKとするとき、
ΔIJK・・・・・・土圧三角形(ΔIJKの面積×土の単位体積重量×縮尺
=擁壁の幅1m当りのク−ロン土圧)
JA・・・・・・・・・・すべり面
土圧の作用線は、ΔCAJの重心からJAに平行に働く。

〔受働土圧〕(図−6.10参照)

(1)壁底Aから水平に対し時計回りにψ線を引く。背部の地表面の延長と
の交点をBとする。
(2)ABを直径とする半円を描く。
(3)壁頂Cより準線に平行にCDを引き、ABとの交点をDとする(準線:
壁裏に垂線を立て、壁と土との摩擦角δを時計回りにとり、この線と鉛
直線との挟む角をαとする。この角αを(1)のψ線より時計回りには
かって引いた線を準線という)。
(4)DよりABに垂線を立て、円周ABとの交点をHとする。
(5)Aを中心として、半径AHで円を描き、ABの延長との交点をIとす
る。
(6)Iから準線に平行にIJを引き、地表面との交点をJとする。
(7)Iを中心としIJを、半径とする円と、ABあるいは、その延長との
交点をKとするとき
ΔIJK・・・・・・土圧三角形
JA・・・・・・・・・・すべり面
土圧の作用線は、ΔCAJの重心からJAに平行に働く。

6.2.2 クルマンの図解法
ポンスレの図解法のように、一度の作図でただちに解が得られはしないが、
ポンスレ図解におけるAB線が紙上で地表面と交わらぬ場合、背面の土砂の
形が不規則であったり、載荷重があるような一般の複雑な場合に適した解法
である。
〔主働土圧〕(図−6.11参照)

(1)壁底Aから水平に対し、反時計回りにψ線を引く。
(2)ψ線から時計回りにαをとり準線を引く。
(3)任意のすべり線ADi を引き、(ΔAODiの面積)×(土の単位体積重
量)=Wiとする(背面に載荷があれば、(ΔAODiの面積)×(土の単位
体積重量)+(載荷重)=Wiとなる)。
(4)ψ線上にWi に等しくAEi をとり、準線に平行にEiFiを引き、A
   Di 線との交点をFi とする。
(5)このような線AD,AD,・・・・ADnを引き、(3)、(4)と同じ
   ようにしてF,F,・・・・・Fnをきめる。このF,F,・・・・Fnを結
   ぶ線をクルマン線という。
(6)クルマン線に対し、ψ線に平行な外接線を引く。接点をFt とすると、
   AFi はすべり面、EtFtはその時の主働土圧を与える。土圧の作用
   線は、ΔOADt の重心を通りAFt に平行に働く。
〔受働土圧〕(図−6.12参照)

(1) 壁底Aから水平に対し、時計回りにψ線を引く。
(2) ψ線から時計回りにαをとり準線を引く。
(3) 任意のすべり線ADi を引き、(ΔAODiの面積)×(土の単位体積重
   量)=Wiとする(背面に載荷があれば、(ΔAODiの面積)×(土の単
   位体積重量)+(載荷重)=Wiとなる)。
(4) ψ線上にWi に等しくAEiをとり、準線に平行にEiFiを引き、AD
   i 線との交点をFi とする。
(5) このような線AD,AD,・・・・・ADnを引き、(3)、(4)と同
 じようにしてF,F,・・・・・Fnをきめる。このF,F,・・・・・Fn
   を結ぶ線をクルマン線という。
(6) クルマン線に対し、ψ線に平行な外接線を引く。接点をFt とすると、
 AFi はすべり面、EtFtはその時の受働土圧を与える。土圧の作用
   線は、ΔAODt の重心を通りAFt に平行に働く。

6.2.3 ク−ロンの土圧
土のくさび理論をもとにして、土圧三角形を求め、これを解析的に数式で
表わしたものである。壁体の裏面が粗である場合、あるいは裏面が鉛直でな
い場合は、土圧は壁体と斜交するから、正確にはランキン公式では求められ
ない。そのような場合は、ク−ロンの公式を用いるとよい(図6.13参照)


主働土圧

受働土圧

ここに、
H:擁壁の高さ(m)
γ:土の単位体積重量(t/m3
ψ:壁体背面の傾斜角(度)
δ:土と壁との摩擦角(度)
β:裏込め表面の傾斜角(度)
φ:土の内部摩擦角(度)

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