■私の“プロジェクトX”「無騒音工場への挑戦」
プラントの新設 高木 利彦

 三重工場のプラントが限界を迎えていて、新設してこのコンクリートの実用化を目指そうという事になり、その為に三重へ転勤しました。

 そこで始めてプラントを作る作業を白紙の状態からやったのですが、今までコンクリートの営業しか経験していない私にはコンクリートの設備といった知識はゼロで、業者の方のサポートにはいまでも感謝しておりますし非常に良い経験が出来たと思います。

 ただ、今までのコンクリートとは全く異質のコンクリートを作成する為、設備にもそれなりに創意工夫をしなければいけないということが非常に沢山あり、最初立ち上がったプラントは高流動コンクリートを作成する為には使い物にならなかったですし、改良に改良を重ねた事を具体的に記載したいと思います。

 まず砂の表面水が違う為その点をどうするかというのが最大の難問でした。ミキサー内のコンクリートの水分量を計測して自動的に補水するという触れ込みのドイツ製の機械を業界紙で見つけましてこれは使えそうだと思いましてミキサーに取り付けました。ただこの機械が高流動コンクリートを作成するには使えないということは使用して3日でわかりましたが。

 苦心して設計してやっと稼働にこぎつけたミキサー設備が高流動コンクリートを作成する設備にはてきしていないというか、ミキサー内を確認しながら水を加水していけばなんとか実験室で作成したような高流動コンクリートを作成できるのですが、1バッチ出来たからといって2バッチ目は必ず失敗という感じでした。

 この時期に日工の電子部門の日工電子の吉田部長に会う機会がありSLファジックという機械の説明を受けこの機械の導入を決めたと同時に400万円かけて導入したドイツ製の機械はお蔵入りとなりました。別にドイツ製の機械がどうのというのではないのですが高流動コンクリートにはまったく向かなかったとうことでしょう。

 日工電子の吉田部長とはそれからも長いつきあいとなりました、最初のファジック(Ms- Dos版)を高流動コンクリート用に改良することに始まり2世代目(Windows版)の開発、3世代目の開発にも携わっているわけですから。

 高流動コンクリートのプラント設備については、後で記載する研究会のメンバーが一番高いレベルにいるのではないでしょうか。

 ファジックの宣伝ではないのですが、この機械は砂の表面水を計測してミキサーの負荷電力値をもとに安定したコンクリートを作成するといったプロセスを満足させるために生まれた機械でこれを高流動コンクリート用に改良する作業(実際に高流動コンクリートを作成して適正なミキサーの負荷電力値からスランプフローを推定する為の試験)に相当な時間を要したのでした、しかし高流動コンクリート用に作成したのではないかと思うくらい優れた機械になりました。


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