■私の“プロジェクトX”「無騒音工場への挑戦」
実現へ 高木 利彦

 それから気泡との戦いが非常に長く続きました。

 理想の配合を探すため配合実験はそれから半年くらい続けました。この時のデーターが大学ノートに製品写真付で2冊ありますが、この記録が今でも現在の配合のベースになっています。実験はすべての骨材を絶乾状態で行なっていましたが、なかなか安定感が掴めませんでした。

 この間に混和剤メーカーと接触をはかりこちらの意図するものを作成してもらえないということで日産化学(株)中嶋氏(現在星和産業(株))と中村氏との出会いがありました。

 彼等に混和剤を改良してもらえないかと、混練試験の状況を見てもらったのですがその時は混和剤の改良と言う話より、民間レベルそれも片田舎の中小企業の二次製品会社で高流動コンクリート(当時彼等は岡村先生のハイパフォーマンスコンクリートと言っていたみたいですが)が出来ていることに驚いていたようです。

 当時というか今でも上手な表現は出来ないのですが混和剤についての改良してほしい点は、もと鈍感な混和剤を作成して欲しいという要望でした。この会社の混和剤を色々なサンプルから選んだのはそう言う理由だったのですがそれでも敏感だったのです。

 もし現在混和剤でお困りでしたらその点を考慮されると良いと思います。混和剤メーカーは、値段は高くても少量でいい反応が出ますと言いますが、今でも私は安くて鈍感な混和剤をお勧めします。

 理由は多少の水分量の違いでもコンクリートに多大な影響を与えないからとでも言うのでしょうか、その方が絶対に扱いやすいのです。

 それと高流動コンクリートというかすべてのコンクリートに対して言えると思うのですが、「コンクリートの善し悪しは混練りが終わった状態で決まっている」という点と「試験室でいくら良いコンクリートを作成してもそのコンクリートは実際には作れない」という発見でした。

 この考え方は当時の技術陣から受け入れてもらえませんでした。あくまでも型枠に投入したコンクリートに対してなんらかの力を加える方法と試験室で良いコンクリートを作ることに躍起になっている技術陣をみて、技術屋ではない私が可笑しいのかと思った事もありました。

 それで実験室での実験も終了していよいよ本プラントで実験という事になったのですが、設備が今の設備で作成できないという結論になりました。


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