株式会社浅見製作所
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■私のコンクリート補修物語
第5部 防錆剤を用いたコンクリート補修 堀 孝廣

5-7-2 親不知海岸での暴露実験

 実橋での試験施工と並行して、飛来塩分量の多さでは日本有数の親不知海岸高架橋下において、コンクリート橋と同一配合の大型試験体による暴露試験を実施した。

 試験は、1988年より20年試験として計画され、現在も尚暴露継続中である。

 親不知海岸高架橋下の飛来塩分量は、昭和63年12月から平成2年3月の間に土研式塩分補修器により測定したデータでは、297g/m2・yearが観測されており、平成4年10月から平成5年12月までのデータでも、周辺地域に比べても突出した値が報告されている。


 暴露実験は、防せい剤の効果を確認するために、事前予防処置として防せい剤多量添加方式と亜硝酸リチウム含有モルタルによる被覆の2方式について実施した。平成6年9月の土木学会年次学術講演会で5年目の報告しているのでそのデータを中心に紹介しよう。







 BL、CAの試験体では、10年にしてかぶり厚さ5〜6cmの所において全塩化物イオン量は4kg/mに達している。表面被覆材の効果は大きくPCM、LMのモルタル被覆されている試験体では、BLの1/6程度の塩化物イオン量に低減されている。表面被覆材は半製品でありきちんと施工されてはじめて性能を発揮する、またコンクリートとの付着性をはじめとしたの耐久性の実証が別途必要となるが、PCM、LMのようなセメント系材料でコンクリートと一体化をはかることができれば、その有用性は高い。


 BLでは、全試験体において鉄筋腐食によるひび割れが発生した。かぶり厚さが30mmであるから、塩化物イオン量は6kgに達しており当然の結果と言える。CAでは、防せい成分である亜硝酸イオン濃度が表面で低下してきており、部分的に亜硝酸イオン/塩化物イオンのモル比が確保されなかったためと考えられる。

電位変化、発せい面積率、腐食減量

 電位変化の図は、2段に配置した鉄筋の上段の海側に面した鉄筋について示したものである。

 BLでは、暴露初期から電位の低下が始まり、10年後には-500mV以下の値となり、発せい面積率、腐食減量ともに大きく、著しい腐食状態を示した。

 CAにおいて、電位が低下しているのは、かぶり厚さを30mmと薄くしているため、亜硝酸イオンが外部へ溶出しモル比が低下した(10年後の鉄筋位置のモル比は0.6)ためと考えられる。しかし、発せい面積率、腐食減量はともに小さく軽微な腐食状態に止まっていた。

 PCMでは、電位低下も小幅で発せい面積率、腐食減量ともに小さいのは、塩化物イオンの侵入が低く抑えられていることによる。

 LMでは、PCM以上に塩化物イオンのコンクリート内への浸透が抑えられているのと同時に、亜硝酸イオンが着実に浸透し10年後の鉄筋位置でのモル比は11.1と非常に高い値を示し、防せい雰囲気が形成されている。発せい面積率、腐食減量がわずかながら見られるが、これは鉄筋を四角に設置するため溶接加工した部分に表面錆びがでたものである。

 上記の試験から得られた知見として

  • 塩化物イオンのコンクリート内への侵入は、表面から5cmで5年後には3kg/m3、10年では4kg/m3程度にまで達する。
  • 防せい剤を混和剤として用いた場合
    無添加のコンクリートに比較し、鉄筋の腐食を1/10程度に抑制できた。
    コンクリート表面からの亜硝酸イオンの溶出を考えると、被覆材もしくは混和材併用による溶出防止対策が望まれる。
  • ポリマーセメントモルタル、亜硝酸リチウム含有ポリマーセメントモルタルは、塩化物イオンのコンクリート内への侵入を抑制する効果が高い。
  • 特に、亜硝酸リチウム含有ポリマーセメントモルタル被覆は、モルタルコンクリート内への亜硝酸イオンの浸透拡散によって、鉄筋が配置される表面近傍において亜硝酸イオン濃度を高く保持するのに効果的であり、高い防せい雰囲気を形成することができる。


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