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■私のコンクリート補修物語
第4部 防錆剤混和による鉄筋腐食対策 堀 孝廣

4-7 防せい剤(混和剤)の最近のレポートから

 日本での防せい剤多量添加方式は、国土交通省の建設省建築研究所の暴露試験場、日本道路公団親不知暴露試験場などで10年を越える試験が継続されている。その他件数こそまだ多くはないが、厳しい塩害環境下にある幾つかの桟橋スラブ、PC桁などに適用されている。公開されているものとしては、以下のような実績がある。

 長期の暴露試験、及び現場での施工実績を重ねる中で、防せい剤を使用する上で幾つかのキーポイントが明らかとなってきた。

  • 侵入する塩化物イオン量を想定し、それに対応した防せい剤の使用。
  • 水比を小さくし、緻密なコンクリートとすること。
  • 適正なかぶり厚さとすること。
  • 適切な仕上げ材の存在。

 塩害環境下における鉄筋の防せいを図るためには、健全な体力を持たせた上で、予防処置として防せい剤を使用するという考え方が大切である。水比の高いコンクリートに、かぶりが1〜2cmでは、どのような防せい剤を用いても腐食を止めることはできない。仕上げ材は、外部からの塩化物イオンの侵入を防ぎ、防せい成分である亜硝酸イオンの外部への溶出を防ぐために有効な手段である。但し、仕上げ材の耐久性とメンテナンスを考慮しておかなければならない。

 W.R.GRACE社では、防せい剤を展開するにあたって、コンクリートに以下のような条件を付けていた。

橋・駐車場の場合
(1)28日強度で、315kgf/cm2以上とすること
(2)凍結がある所では、打設時に7±1%の空気量を入れること。
(3)減水剤、或いは遅延型減水剤を用いて所定の水セメント比とすること。
(4)かぶり厚さは3.8cm以上とすること。

海洋構造物の場合
橋・駐車場の条件に加えて、半海水中、波しぶきを受ける所では
a)防せい剤は、20.5リットル/m3以上とし、高性能減水剤を使用すること。
b)水セメント比は、設計上0.38、最大でも0.42とすること。
c)かぶりは7.6cm以上とること。

 現在は、この条件も変更されてきていると思うが、このように防せい剤の使用はコンクリートの品質と併せて考えられなければならない。殊に水セメント比を低くすることは、イオンの拡散係数を小さくし塩化物イオンのコンクリート内への浸透を抑え、亜硝酸イオンの外部への溶出を防ぐ上で、もっとも重要である。低い水セメント比とするとマスコンリートでは、亜硝酸カルシウムの硬化促進能のため水和熱の問題が生じるが、高炉セメント、フライアッシュ、シリカヒュームなど混合セメントを使用することにより解決可能である。更にこれら混合セメントは、塩化物イオンの侵入を低減する効果も期待できるので、是非検討していただきたい要件である。

 防せい剤の使用に関して、用心深い研究者からはよくマクロセル腐食の問題が提起される。例えば、イタリアの著名な研究者であるM.Collepardi等は、コンクリート中に鋼板を埋め込み、載荷試験によりひび割れを導入した後、試験体を海中に浸漬暴露し、鋼板の底面側の腐食が防せい剤を添加したものの方が進んだという試験結果を報告している。(1990 RILEM SYMPOSIUM)

 この問題に関して、やはりドイツの著名な研究者であるP.Schieβlらは、W/Cが0.38と0.50の鉄筋を埋め込んだコンクリート試験体にひび割れを導入し、3%の塩化物イオンを含む水溶液中への浸漬・乾燥を2年間以上繰返したが、W/Cが0.50のものについては防せい剤を添加した試験体が無添加のものより腐食が進んだという結果は得られず、W/Cが0.38のものについては、防せい剤添加の試験体ではひび割れが入っていてもその部分の腐食が抑制されていたという報告を出している。ひび割れの導入された部分でも腐食が抑制された理由として、亜硝酸イオンがひび割れ部分にも滲みだし防せい雰囲気を形成したと推定している。(2000 SIXTH CANMET/ACI INTERNATIONAL CONFERENCE)

 筆者も何回かマクロセル腐食による実験を行ない、その試験条件によって得られる結果はまちまちであったが、防せい剤使用によるメリットの方がはるかに大きいと言う確信を持つに至っている。

 以上で、コンクリート用防せい剤(混和剤)に関するテーマは終了し、次に、防せい剤を使用したコンクリート補修に、話題を進めよう。


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