ノスキッド仕上げ研究会
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■私のコンクリート補修物語
第3部 塩害による鉄筋腐食 堀 孝廣

3.12 凍結防止剤による塩化物イオンの侵入

 近年、凍結防止剤による塩害が問題となってきている。被害は、従来塩害とは縁がなかった山中の橋などで起きている。1991年4月にスパイクタイヤが使用禁止となってから、凍結防止剤の使用量が急増している。北米、カナダでは古くから岩塩が凍結防止剤として使用されており、高架橋のスラブや橋脚、アバット、更には駐車場などで塩害による鉄筋腐食の問題が起きている。駐車場で、車の下部に付着した雪氷が駐車場で溶けて塩分を蓄積したものである。実態はNHKでも何度か放映されているので、ご存知の方も多いと思うが、1980年代中ごろの調査で米国内の道路橋570,000のうち、80,000橋が被害を受け、中には通行禁止としたまま放置されている橋もあるという。

 以下に、日本と米国の凍結防止剤の使用量のグラフを示す。

 平成10年に北海道で使用された凍結防止剤の種類と量は以下の通りである。

 CMAを除いて、全て塩化物である。価格的には塩化ナトリウムが最も安く、塩化カルシウムは塩化ナトリウムの2倍、CMAは塩化ナトリウムの4〜10倍程度と推定される。CMAは、腐食性が少ないとして、アメリカで開発されてきたものだが、価格的な面で広範囲には普及していない。アメリカの個人住宅で、自宅の駐車場から一般道路に出るまでの間の融雪に多く使用されている。余談だが、筆者らが10数年前に、アメリカでCMAが開発されていると聞き、あるメーカーからサンプルを取寄せ分析したところ、中身の大半は塩化ナトリウムであった。今はそのようなことはないと思うが、海外からの輸入品には気をつけなければいけないことを実感した。

 凍結防止剤の散布方法も研究されており、粉状、粒状、液状から、現在ではスラリー状態で散布されることが多い。寒い地方では事故防止のために、凍結が予想される橋に温度センサーが設置されており、道路管理者は事務所でその情報を見ながら、散水車でスラリー状態とした凍結防止剤を散布している。

 凍結防止剤として、大量の塩が撒かれるので、アスファルト舗装の下の防水シートの欠損部などを通じて塩化物イオンがコンクリート内に侵入する。また、塩を含んだ水が流れる桁端部や橋脚の被害も大きい。桁端部は、わずかな隙間によって隣の桁と接しているので、ここの鉄筋が腐食すると補修にはたいへんな労力がともなう。

 スラブの場合においては、鉄筋が複層に配筋されているが、塩化物イオンが多く含まれる上層部のコンクリート中の鉄筋と、塩化物イオンをあまり含まない下部のコンクリート中の鉄筋との間でマクロセル腐食が起こり、被害が促進される。

 実際のコンクリート中への塩化物イオンの侵入例を以下に示す。鉄筋が5cmの所に配筋されていたとすると塩化物イオン濃度は、3kg/m程度に達している。このような高濃度の塩化物イオン濃度含有されると、鉄筋は急激に腐食が進行する。

 これからは、海沿いの地域だけではなく、山間部を初めとした凍結防止剤が撒かれる地域全てが塩害危険区域と考えなければならない。また、凍結防止剤として塩化ナトリウムが使われることが多いので、同時にアルカリ骨材反応の危険性も増してきている。


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