エクセン株式会社
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■私のコンクリート補修物語
第05回:中性化試験その2 堀 孝廣

このモルタルの中性化の異常な進行は、何によって引起こされたのだろうか。 炭酸ガス濃度は、特別に炭酸ガスを導入していないので、外気と同等である。 温度は60℃と高いが、それでもびっくりする程高いわけではなく、セメント水和物の組成を変えてしまう程ではない。 それでは、コンクリートではなくモルタルのせいだろうか。 コンクリートに比べてモルタルの中性化が早いということは、聞いたことがあった。 それは、モルタルは空気量が多く炭酸ガスが入り易いためと説明されていた。 しかし、それだけでこのように中性化が進むだろうか。

中性化に関する文献を調べていく中で、湿度の影響が大きいことがわかった。 湿度40〜60%位が最も中性化が早く進むという。 それより、湿度が高くても低くても中性化の進み方は遅いのだそうだ。 どうやら、コンクリートの乾燥と中性化には密接な関係があるらしい。 ドラム缶での中性化試験は、半密閉状態で相対湿度は100%近い条件になっていたに違いない。

そこで、ドラム缶の底にスノコを置き、中の空気をポンプで循環させ途中に、冷却管を付け除湿することを試みた。 しかし、これだけでは大した除湿効果は得られないため、内部に温度センサーを組込んだヘアドライヤーをセットし、ドラム缶内の温度を40℃まで上げた。

ここまで、ドラム缶を加工してくると、なにやら装置っぽくなってきた。 はじめからこんなことをしなければいけないとわかっていれば、恒温恒湿槽を購入することを考えたのだが、成行き上ハマッテしまった。 さて、実験を始めてみると驚くほどトラップに水がとれた。

試験を始めて、1週間後に蓋を開け、コンクリートの中性化深さを測定した。中性化は見事に、5〜10mm進んでいた。 また、コンクリートの割裂面を良く観察してみると、中性化している所と中性化していない所では明らかにコンクリートの色調が異なり、コンクリートによってはフェノールフタレイン溶液を噴霧しなくても、どこまで中性化しているか判別できるものもあった。 これは、中性化によって水酸化カルシウムが炭酸カルシウムに変化したことも関係していると思われるが、それよりもコンクリートの乾燥の影響が大きいように感じられた。

中性化は簡単に言えば、炭酸ガスがコンクリート中の水酸化カルシウムと反応する化学反応であるから、炭酸ガスがコンクリート内に侵入できなければ中性化は進まない。 従って、コンクリート内の毛細管空隙が水で満たされている時には、炭酸ガスの侵入が妨げられて、中性化は進まない。 わかってしまえば当たり前のことである。


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