■浮遊児のコラム「月と太陽の旅」
第5回 『目的のない旅 (その1)』

 旅について考える。日常を離れて初めて見る景色や人とのふれあい。良く見て聞いて自分の本能に従い漂う旅。そんな旅が私は好きだ。
 この旅によって、以前にも増して人とのつながりが好きになった。というか、旅によって、人のココロが解き放たれていくので他人に優しくなれるのからかも知れない。

 人間にはスランプというものがある。(もちろん中にはスランプ知らずという方もいるだろうが、)人生に一度やニ度は目的を失い極度の孤独感にさいなまれることもあるものだ。何かを生み出すことを生業にしている私はあるとき、(とくにスランプ期においては)あまり太陽を拝んでいないことに気がついた。これはいけない、、、。そんなときは、いくら努力してもうまくいかない。遊びに行くか、寝るか、、、オーバーにいえば旅にでるしかないのだ、、。
 前のコラムでも書いたが、日本人の6人に1人しか毎日空をみていないという報告でお分かりのように、自然とのバランス感覚がとても大事ということである。

 都会で疲れた心と身体を癒すためだと、なかば強引な理由をつけて、年に一度は、南の島へ旅をしている。といっても泊まる宿は、一泊数千円のライダーハウスである。
 いつ帰っても?気のいい宿のオーナーが笑顔で『お帰り』と迎えてくれる。(ちなみに、出て行く時(東京に帰る日)は『脱走』)
 家の中にはいると、2×4の角材とベニヤ板で造られたベッドがあり、とても狭く感じるのだが、なぜか周りが自然であることもあって妙に快適である。といっても、その宿にくる大半のライダー達は、キャンパー(もじどおりキャンプをして全国を旅している人)であるから1泊数百円のテント生活をしている。
 できるだけ長く旅を続けるためにきりつめているのである。長い人で1年くらい全国を旅しているらしい。
 都会で生活していると、どうも感動するということが減ってくる。いやむしろ感動ばかりしていては仕事に影響してくるようだ。仕事に集中している間は、気を抜いてはいけないということなのかなあ。
 それこそ、お金に余裕さえあれば美味しいものを食べれるし、好きな服やモノを買うことだってできる。

 いかんせん都会では、時間のゆとりがうまれにくいのですね。『飯を食う暇もない程忙しい』『家に帰るのはだいだい午前様』と、周囲からは聞こえてきたりするのだから。
 島に行って思うことは、感動はリラックスした状態でうまれやすいということである。もちろん、気ごころをゆるせる相手や適した環境も大事であり、人は目的がないと動けないものだが、ここではあえて目的を持たない旅が大事に思える。(目的を探す為に旅をする人もいるけれど)
 夜になり満天の星空の下、流れ星の数を数えきれない程見ていると、時間に縛られてあくせくしていることが嘘のように思えてくる。ここでの夜は暗闇が支配し、BGMといえば風の音と波の音、(すぐ近くに空港がありその下には海が連なっている。)時間を忘れて星空と一体になって、瞑想にふける。
 夜は長い。宇宙時間とはこんな感じかもしれない。

 さてそろそろ仕事にもどりますか、、、。




 『唄う旅人』                     浮遊児         

どっちかといえばこの先ずっと ぷらぷらと歩いていきたかったけど
現実に飲み込まれ思うようにならなくて
どっちかといえは行きたい場所へ 飛んでゆけたらいいと思ってた
疲れ果てて夢さえ見れなかった

動き出した船は 行き先決めずに
風のむくまま気のむくまま 僕は唄う旅人

どっちかといえば荒波に飲まれ 溺れてみなけりゃ恐さはわからない
それでも旅立つよ 自分のために

(All right reserved  " CRAWL" 、electric sheep records)

(『目的のない旅(その2)』に続く、、、。)


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