■工業英語の穴
工業英語の穴(その7) 嶋野 周治

私の翻訳家駆け出し当時の失敗や悩んだことを、「工業英語の穴」と題して恥ずかしくも皆様にご紹介をしています。

「穴」というのは、日本語的発想、あるいは外国語の不十分な知識から導かれた表現の陥りやすい間違い、 というような意味で、巷間言われる和製英語、Japanglishなどと称される類のもの同様とご理解ください。 その工業英語版というわけです。

さて、よく右回り、左回りということがいわれます。right turn 、left turn の表現から、 ネジを右に回す、左に回すを turn the screw to the right 、or to the left で良いものだと思っていました。

ところが、工業英語では、turn the screw clockwise 、反対はcounter-clockwise が決まり文句となっています。

さらに、単語のinflammableもin(接頭辞としてつくと否定(反対)の意味が多い)がついているから、 燃えないとか燃えにくいと当初考えてしまいました。

実際の意味は「燃えやすい」のですから、辞書で確認をしないまま訳すのは危険なことだなと痛感しました。


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