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■亀の子コンクリート考
第三十六回:大家族→核家族 小林 映章

前々回建設業はゼネコンを頂点とするヒエラルキーが形成され、重厚長大な組織であると書いたが、この形態はまさに大家族である。

人類の狩猟時代をみると、部族の長老を頭にして部族全体が一家族といった超大家族が形成されていた。山野を移動する狩猟生活から1ヵ所に定着した農耕生活に移行すると、血族を中心にして集まり、農耕を行うに必要な労働力を確保するために、四世代くらいにまたがった大家族の構成になった。この構成は後の商家でも工業労働者の家庭でも同様で、日本ではこうした大家族が第2次世界大戦が終わるまで続いた。生計を維持するためには大きな単位が必要であった。

一方、企業をみると、1890年代に軽工業、1900年代に重工業が産業革命を迎え、以後資本主義体制下で欧米との競争に勝ち抜くためにどんどん巨大化の道をたどっていった。中心企業は自己が巨大になると共に、多数の子会社を傘下に収め、独占資本と呼ばれる超大家族的企業体が形成された。

しかしながら、現在は労働の形態も個々人の意識も変わり、大家族は消滅して核家族が大多数を占めるようになった。同時に、企業も超大家族では能率が悪く、最早競争に勝ち抜けないことが判り、機動性の向上を求めてどんどん単位が縮小しつつある。また、一昔前なら存続を危ぶまれるような小規模店舗の集合体であるコンビニエンスストアが売上、利益でかつての大企業を見下す位置に座り、また、数人から十数人程度のベンチャー企業が期待を集めるようになった。

建設業では、各地に小さな企業が散らばって、一見核家族的であるが、実態はゼネコンを頂点とする大家族的構造が続いている。この構造の利点は、ゼネコンの優れた技術力によりどんなに巨大で難しい建設でも高い信頼性を持って完成し得ることにある。しかし、これが万能でないことは、最近のコンクリート構造物の欠陥露呈や、バブル崩壊後の建設業界の状態を見ると明らかである。

建設省の統計によると、建設投資は、バブルの余波と不況対策として増額された公共投資が寄与した1992年度がピークで84兆円に達したが、その後激減して99年度には70兆円に落ち込んだ。これに対して建設業者は52万社から59万社に、就業者数は619万人から657万人に増えている。市場原理が働けばこのような数字にはならないはずで、ここにはゼネコンを頂点とする大家族構造と、公共投資が働いていると云える。さて、こうした問題は別として、大家族的組織が問題になるのはその非能率性と経費の無駄が大きいことで、現在ではこれが「ゼネコンの優れた技術力」を持ってしても補い得ないところまできている。例えば、コンクリートでも多種類の混和剤が開発され、それが縦横に使用されるようになると、優秀なゼネコンの技術者といえどもその内容を熟知したうえで設計をするというわけにはいかず、専門企業の言を頼りにし、その部分はブラックボックスで通している。専門の企業にそのまま頼るのであれば、専門企業に責任を持たせ、それぞれが責任分担を明確にした上で直接受注して仕事をする方が信頼性が高く、効率的であり、経費も節約できる。

建設業界でもごく小単位で業績をあげている企業が多数あるが、それらがヒエラルキーの下部に位置する下請の域を脱しないのでは、これからの社会で建設業がその地位を保つことは難しい。専門の力のある小単位の企業が核家族的に活躍できる状態でなければ機動力のある働きはできないのではないか。


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